アメリカの医師が若いドクター向けに書いた名著『ドクターズルール425 医師の心得集』(クリフトン・K・ミーダー編、福井次矢訳/南江堂)には、医師が持つべき「薬に関する心得」として次のような提言が出てきます。
(1)4剤以上飲まされている患者は、医学の知識が及ばない危険な状態にある。
(2)薬の数が増えれば増えるほど、副作用のリスクは加速度的に増す。
(3)処方を中止しても、患者の状態が悪くなるような薬はほとんどない。
(4)可能ならば、薬の処方を全部やめる。それができないなら、できるだけ薬を出さないようにする。
(5)効いているのか疑問に思った薬は、たぶん効かない薬だ。
(6)「患者は処方通りに薬を飲まない」
この中で特に興味深いのは(1)で、最初に「4剤以上飲まされている患者は、医学の知識が及ばない危険な状態にある」と断定していることです。
もしそうだとしたら、いったいどれだけの日本人が「医学の知識が及ばない状態」にあるのでしょうか。4剤以上服用している日本人は、5~6人に1人はいるといわれているので、2000~2500万人が医学の知識の及ばない状態、言い換えれば、いつ副作用死してもおかしくない状態にあるのです。
(2)の「薬の数が増えれば増えるほど、副作用のリスクは加速度的に増す」ということも、肝に銘じておくべきことです。現在の日本では、10剤以上の併用も珍しいことではなくなっているからです。
いまだかつて、10種類以上の薬を20年以上も飲み続けるとどうなるのかという実験が行われたことはありません。そのため、どんなことになるかわからないまま、壮大なスケールで国民の薬漬けが進行しているのが日本の現状なのです。
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